オシム監督、浦和勢のエジプト戦招集なし…アジアＶ全面支援

　日本代表イビチャ・オシム監督（６６）が４日、アジア・チャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）優勝を狙う浦和に対し、全面バックアップを約束した。この日、休養していたオーストリアから約１か月ぶりに日本に戻ったオシム監督は、ＡＣＬで過密日程が続く浦和勢の体調を考慮し、エジプト戦（１７日、大阪・長居）の招集を見送る考えを示した。これまでＪクラブ側に無理難題を押しつけてきた指揮官の方向転換を浦和は大歓迎した。

　老将はご機嫌だった。自宅のあるオーストリアで行われた３大陸トーナメント（９月７、１１日）で優勝。“故郷”に錦を飾った後、約３週間の休養をとった。「自分で車を運転して知人、親類を訪問した。もちろん、サッカーも見た。（ＵＥＦＡ杯）サラエボ―バーゼル戦では中田浩二（バーゼル）をチェックした」オシム監督は満足そうに欧州の日々を振り返った。

　リフレッシュした指揮官は冷静沈着だった。エジプト戦に向けて約１０日の長期合宿を予定しているが、ＡＣＬで奮闘する浦和勢の招集見送りを示唆した。「浦和がアジア王者になるチャンスが出てきた。これは日本サッカー界全体の名誉にかかわっている。こちらも手を貸したい。エジプト戦に浦和勢を呼ばないというサポートも考えられないことはない」笑みを交えて滑らかに話した。

　これまでオシム監督はＪクラブに対し無理難題を吹っ掛けてきた。４、５、６月には年間予定になかった代表候補合宿を敢行。特に浦和とは因縁がある。４月の合宿で右太ももを痛め、別メニュー調整したＤＦ闘莉王に激怒し「常に代表に入るわけではない」と言い放った。浦和が日本協会に抗議する“事件”に発展。それが一転、全面バックアップを約束した。

　エジプト戦では欧州組の招集見送りをすでに決定。代表の主力以外の選手を見極める場と考えている。

　「世界のサッカーのトレンドは代表よりクラブ。その波が日本にも来たということです」今後、クラブの事情を尊重する考えを示した。３大陸トーナメント優勝でオシム監督が“余裕”を持ったことは、日本代表にとって大きなプラスだ。

参照元：スポーツ報知